走れば汗を掻き、呼吸も上がった。
目を瞑れば、瞼の向こうの太陽が白を見せた。
すん、と意識をすれば草の匂いが鼻腔をくすぐる。
両腕をめいっぱい広げて僕らは空の下。
鎧の体を抜け出したボクは、嗅覚と触覚を取り戻し五感全てをアルフォンス・エルリックの体で感じることが出来るようになった。
入院生活の次は自宅休養が言い渡され、軍で働く兄さんにはまだ追いつけそうにない。
兄さんは不規則な休みを総てボクに構うことに使ってくれるから、ボクはなるべく兄さんの傍から離れないようにするんだ。
家でも
外でも
そして、今みたいに庭でもね。
ボクを真似て大の字にねっころがる兄さんはやがて静かになる。
すーすーと聞こえてきた寝息にボクはくすりと笑って、蒼い下に惜し気もなく広げられた白い腕に手を伸ばした。
触れて感じる、体温。
この皮膚の下には確かに血が通っていて、あぁ温かいなぁ、とボクは思う。
ボクが五感を取り戻したのは、きっとこのためじゃないかなぁ、なんて結構本気で思うのは内緒。
何処からかやってきたそよ風は、緩やかに広がる金糸と戯れてまた何処かへさようなら。
干したてのベッドのシーツは僕らの下敷きになって、昨日の雨の残した露に濡れている。
たまにはこんな日を、過ごすのもいいでしょう?
昼下がりの空の下にはもうひとつ寝息が増える。
モドル
*アトガキ*
とにかくほのぼのとしたのを目指してみたんです。
この頃の兄さんは中佐あたりかな、と妄想。