09*神楽誕




たとえば、太陽を拝む彼女に空をあげることはできなくて
特別、高いものをあげるのも柄ではなく
えんえんと悩んだあげく、投げ捨てるようにして、
やっと彼女に手渡せたのは小さな小さな―――

「チッ、しけてるアルな」

唾でもこちらに投げかけてきそうな面をしておきながら、
彼女はやや少し頬を染めてそう言うものだから、また、
柄にもなく照れを覚えて「要らないんなら捨てておけ」とだけ言うのが精一杯なんて、おかしな話だ。
背を向け足はそのまままっすぐ進む。
人に物を渡すというのはこんなにも難しいことだったか。

悩んで、悩んで、やっと手を伸ばしたものを彼女は鼻で笑ったけれど。
手が真っ先に、求めるように、それを受け取ろうと伸ばされてきたのには笑ったけれど。
生意気な小娘相手に自分もよく、誕生日プレゼントひとつに苦労したものだ。
ちらり、と背後の彼女を見遣る。


「・・・・おいおい、」


落ち葉がひらり、ひらりと舞い、風がひゅるりと吹く中で、彼女は先ほどの
場所から未だ動かずに、掌のそれを見ていた。
ゆるりとあげた口角と、伏せられた睫毛と、それが作る影が乗った頬は朱色に染めて。
生意気な小娘なんかじゃなく、ただ一人の"女"の、顔で。


「―――――っ、」


踵を返して腕の中に彼女を収めるのに、
時間など用を成さない。



神楽ちゃん誕生日おめでとう^^




モドル