さよならの前に、ここで



それは夜も間近な頃合だった。
夕日がどこまでも地を包み、けれど月も見え隠れしそうな時間。
公園のベンチで耽っていた沖田の前に彼女は、神楽は傘をさして現れた。
待ち合わせをしているわけでもないのによく会うな、と思っている間に兎はその小さな口を開き空気を吸い込むと暗記 していたものを吐き出すように一気に捲くし立てた。


「おまえは不真面目でサボリ魔でドSで税金ドロボーで、だけど正義感は無駄に働くしおまけにそれでも公務員だから 江戸の女は放っておかなくて見合いの話も後を絶たないらしいな。良かったな、女には困らなそうで。

私、えいりあんバスターになるためにパピーと宇宙に出るネ。だからお前ともお別れアル。
結局最後まで喧嘩の勝負つかなかったな(まァ、私の方が優勢だったけど)
でも、それも良い思い出としておいといてやるヨ。夜兎に張り合える人間なかなかいないからな。
あと・・・・、私、おまえのこと結構好きだったかもアル。・・・・じゃぁな!」



いきなり現れた上にそう早口に捲くし立てると夕日だけではないだろう、紅くなった顔を背けると脱兎よろしく 沖田の前から去っていく。




あーあ、ちくしょう。
先に言いやがって。
しかも言い逃げかよ。
こっちの話も聞けっつの。
俺も明日から遠征なんだ。
死ぬかもしれねェ前にアンタに一言言っておきたかったのに。
あと、最後にもう一度くらい喧嘩したかったなァ・・・・・・神楽。


呼びなれない初めて口にするそれはしかし、彼女に届くことは無かった。
結局、最後まで告げられなかった想いを互いに抱えたまま二人は家に向かう。





















少し先に待つ未来。

奇跡的に帰還した蜂蜜色とえいりあんバスターとして名を馳せ戻ってきた桃色が契りを交わしたのが 奇しくも近藤が意中の女性を落とした日と重なったのはまだ誰も知らない。





淡々としたものを目指しつつ・・・最初は結ばれないままにしようかとも考えてました^^
お題はコチラより。


モドル